2013年11月号 モバイルをスマートに
11インチがメインに
7月に購入したMacBook Air 11インチがかわいい。ジャストA4判サイズの横幅で重量は1kg。それでいてバッテリーが実質的に9時間もつから、カバンにACアダプターは不要。これ1枚を携えて颯爽と歩ける最高にモバイルなMacだ。
RetinaディスプレイのMacBook Proが発売されてすぐに15インチを購入。その画面表示の美しさに魅了され、13インチも購入して、それぞれ研究室と自宅で使っている。モニターに表示される写真も文字も滑らかで印刷物のような存在感さえ覚える。だから、これからのMacはRetinaディスプレイが必須と信じ、当初、MacBook Airには興味を持たなかった。
しかし今回のMacBook Airは、11インチで9時間、13インチで12時間もバッテリーがもつという。バッテリー残量を気にせず終日使えるiPad miniに慣れた今、MacBook Airが本当に屋外で終日バッテリーなど心配をしなくてすむなら、Retinaディスプレイでなくとも自分の使い方に最適かもしれないと考え始めた。
iPad miniでもフリック入力にSu-Penを使うことで、かなりの速度で日本語を書き続けられる。しかし、Macのキーボードで親指シフトによって日本語入力する速度の方が圧倒的に速い。それを外でもバッテリーを気にせず使えたらどんなに楽か。
考え抜いた末、MacBook Air 11インチを購入した。バッテリー持続時間を重視して、CPUは標準のまま「1.3GHzデュアルコアIntel Core i5」とした。CPUパワーを必要とする写真の現像作業はMacBook Proで行えばいい。一方、メモリーとストレージはそれぞれ8GBと512GBへ倍増した。快適なモバイル環境となるはずだ。
結果は大満足である。Wi-FiでWebとつなぎブラウザーで調べものをしながらテキスト入力主体の使い方をすると、1時間で約10%のバッテリー消費だ。「最大9時間のワイヤレスインターネット閲覧」が可能とうたう公称値はダテではない。
実際、MacBook Air 11インチを使い始めて以来、宿泊を伴う出張を除いて、一度もACアダプターを持ち歩いていない。バッテリーでの終日運用に十分耐えるのだ。理想的である。
いままで、自宅とオフィス以外でMacを使うたび、電源の確保に苦労していた。電源を使わせてくれる喫茶店はどこか、何席あるのか、それが空いているのか、その席でLTEの電波強度はどの程度か、といったことに頭を悩ませていたのだ。Airはそのような「電源の呪縛」から解放してくれた。作業する場所の自由を得たのだ。
身近になればなるほど、多くを求めてしまうのが人情か。当初、MacBook Air 11インチでは写真は扱わないと決めていたのに、気持ちが揺れてきた。試しにGRで撮影したRAWファイルをAperture3に読み込んでみる。あっけないほどサクサク使えるではないか。驚いた。
他のMacではAperture3を快適に使う目的で、必ず最高性能のCPUを搭載して購入してきた。なのに、このMacBook Airは、1.3GHzのCore i5でも支障なくRAWファイルをAperture3で扱えてしまうのだ。ストレージの読み書きが高速化されているからかもしれない。
さらにシグマのSD1、DP1 Merrill、DP2 Merrill、DP3 Merrillで撮影した45MBもあるRAWファイルの現像も試した。1枚22秒ほどかかるが、十分実用的である。
結局、MacBook Air 11インチは、写真の現像や管理まで含めて、「メイン」のMacとなってしまった。この小さなボディに秘めたパワーは思いのほか大きい。
理想のバッグを求めて
日常的に使うツールはすっきりと格好良く持ち歩きたい。MacBook Air 11インチを何に入れようか。PC用ではなく、普通のクールなバッグが欲しい。
仕様によるとMacBook Air 11インチの長辺×短辺は30×19.2cm。A4判の規格が29.7×21cmだから、長辺はほぼ同じ。つまり、A4判サイズ用に作られたバッグならすっきり収まるはずだ。
しかし、探し始めてみると、これがなかなか存在しない。「A4判対応」と書かれているバッグはどれも、A4判ファイルサイズを想定しているらしく、一回り大きいのだ。Webでも店頭でも、ピッタリサイズは見つからない。
そこでふと思い出したのが革カバンの手作り工房「Herz(ヘルツ)」だ。ここのバッグは30年ほど前から愛用している。革の質感、丁寧な縫製、頑丈な作り。すべてにわたってクオリティーが高い。
そのWebサイトで発見した「ソフトダレスバッグ」のSサイズ。外寸で35×25cmだから、きっとぴったりに違いない。
翌日、渋谷にあるHerzの直営店を訪れ、MacBook Air 11インチを入れてみた。案の定、ジャストフィット。買った。以後、オイルを塗って手入れしながら愛用している。革製品を「育てる」のだ。
実はその日、帰宅してから自宅のMacBook Pro Retina 13インチを入れてみたら、ギリギリ入ってしまった。11インチにピッタリを探していただけに、ちょっと心残りではあるが、ときどき13インチを持つときに同じバッグをそのまま使えるメリットもあるので、気に入って使っている。
もうひとつ、Herzのサイトで見つけ、店頭で試した製品がある。「クラッチバッグ」のMサイズだ。外寸32×22cm。これこそ完璧に11インチのサイズである。13インチは入らないのがうれしい。
店頭で担当者と話したところ、カスタマイズもオーダーできるとのこと。そこであれこれ試してみた。すると同じクラッチバッグのLサイズの内側についているポケットにはiPad miniがきれいに収まることが判明。それを付けていただくことにした。さらに反対側にも同じサイズのポケットをつけることができ、そちらにはもう一段ポケットを重ねて中央を縦に縫うこともできます、とのアドバイス。iPhone5やポケットルーターが収まるではないか。それもお願いした。
4〜6週間と言われた納期が待ち遠しい。ついに完成したクラッチバッグを受け取りに行き、MacBook Air 11インチ、iPad mini、そしてiPhone5を収めて感動した。求めていたものがそこにある。
シンプルで整ったデザイン。革の質感も想像以上にいい。手になじむ柔らかさと中身を包み込む強さを兼ね備えている。開口部がファスナーではなくがま口状なので、大きく開いて出し入れもしやすい。
どのくらいのモノが入るか、試してみた。その薄さからは想像できない収納力である。とはいえ、入れるものはできるだけ少なくし、軽快に持つのがスマートだ。
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画像キャプション
クラッチバッグM:21,000円
ポケットをLサイズに変更する:1,050円
二重のポケット追加:3,675円